インドで通訳ガイドをしているインド人のお客さんとの会話
今回のお客さんはインド人のご夫婦だったのですが、
なんとご主人は、インドでスペイン語とフランス語の
通訳ガイドを35年間されている人でした。
わたし:どんな国の人を相手にガイドしてるんですか?
夫:南米、スペイン語圏、それからフランス、
カナダのケベック州の人が多いね。
わたし:個人客ですか?それとも団体が多い?
夫:僕はほとんど団体客だね。団体さんを連れて
インド中を1週間、2週間とかかけて回るんだよ。
時にはチベットとか近隣の国も行くよ。
わたし:お客さんはどんな質問をしてくるんですか?
夫:一番多い質問は、「どうしてインド人は
牛肉を食べないんだ?」だね。
わたし:答えは?
牛は「母」と同じなんだよ。自分の母を
殺して食べたりしないだろ?
わたし:なるほど。で、ご主人は、牛は食べないけれど
ベジタリアンではないんですね?
夫:そう。インド人は基本的にはベジタリアンが
多いんだけど、最近は特に状況が変わってきていて、
ベジタリアンじゃない人が増えているね。
妻:私は「創価学会」なのよ。
(創価学会、と微妙な日本語で発音されたので
最初何を言っているかわからず、2,3回聞きなおして
やっと「創価学会」だと理解!)
わたし:なんと!創価学会って日本の宗教ですよね。
びっくりしました。
妻:最近、インドでは若い人を中心に創価学会の
信者が増えているのよ。お経も多分、中国語みたいなのを
ちゃんと唱えているわ。
(お経のさわりをちょっとだけ聞かせてもらえましたが、
それが中国語なのか日本語なのかさっぱりわからずじまい
でした)
妻:私の父は今年95歳で、いろいろと介護が必要なので
なかなか長い旅行に出かけられなくてね。
わたし:長生きされているんですね。
夫:そうだね、インドの平均寿命は68歳だから、
それと比べると長生きだね。
わたし:日本では65歳を定年にする会社が多いんですよ。
68歳って言ったら、
定年退職して3年で死ぬ、ってことですか?
夫:インドは貧富の差が激しい国だからね。
栄養状態が悪かったり、適切な医療を受けられない人が
とても多い。
それを考慮に入れると68歳の平均寿命は
いい方だと思うよ。
(無資格ガイドの話題から)
夫:インドでは無資格のガイドが横行していて、
彼らが安い賃金でガイドをするもんだから
僕たち正式なガイドの給料が下がってきているんだよ。
困ったもんだ。
わたし:それは日本でもこれから起こりえる状況ですね。
日本でも国家資格の通訳案内士の資格を持っていなくても
ガイドをすることが許されましたから。
でも、ご主人はスペイン語もフランス語も話せるなら
インド人を連れてスペインとかフランスとかに
添乗員として行くってのもありではないですか?
夫:ん~、ぼくはインド人のお客を相手に仕事を
したいとは思わないな。ちょっと金持ちの地方出身の
インド人とかは、ほんと、文化を知らないというか、
やりづらいね。
インド人のガイドがインド人相手に仕事したくないと
言うのにはちょっと笑っちゃいました。
要求が多くて、押しが強いんですって。