ユダヤ系アメリカ人のお客さんとの会話
今回のお客さんはアメリカ在住の
ユダヤ人のご夫婦でした。
(いろいろなかわいいポーズをした
お地蔵さんがお寺に置いてあるのを見て)
夫:日本人は、お地蔵さんが寝転んだり
にっこり笑ったり、楽しいポーズをしているのを
楽しむ心のゆとりがあるのはいいことだね。
わたし:どういうことですか?
夫:例えば、宗教にとても厳格な人々、
例えば敬虔なイスラム教徒とかだと
こんな風に神聖な仏像にかわいいポーズを
取らせたりすることは、神に対する冒涜だ、
と感じるだろうし、決して銅像に
楽しいポーズとか取らせないと思うな。
わたし:あなたは敬虔なユダヤ教徒ですか?
夫:ぼくはあんまり熱心な信者じゃないね。
ユダヤ教徒は丸い小さい帽子を頭にかぶるのを
知っているかい?
わたし:はい、ユダヤ人のお客さんが小さい帽子を
頭につけているのを見たことがあります。
その時には聞けなかったんですけど、
あんな小さなぺったんこの帽子がどうして
うまいこと頭にくっついているんですか?
夫:あれは、ヘアピンみたいなのを使って
髪にくっつけているんだよ。
ぼくは、髪の毛がくるくるのカールだったから
帽子がよくポロっと落ちたよ。
最近は全然つけてないけど。
(日本の近代史の話から)
妻:日本が中国や韓国を侵略したことは
知っているわ。中国人や韓国人は今でも
そのことに腹を立てているんでしょう?
わたし:そうですね、そのことに関しては
韓国人、中国人は今でも許せない気持ちを
持っていると思います。
妻:過去のことは過去のこと、
これから未来を考えていかないといけないのは
わかるけど、韓国人の気持ちもわかるわ。
私たちはユダヤ人だから多くの人が
ホロコーストを経験しているでしょう。
私の両親もロシアとの国境の近くにある
強制収容所に入れられていたのよ。
両親は幸い生き残ったけど、
祖父母や親せきはガス室に送られて死んだわ。
だから、多くのユダヤ人は戦後長いこと
経ってもドイツ製品なんて決して買わなかったし、
ドイツ産の食べ物なんて決して口には
しなかったわ。
わたし:とてもつらい経験をされているんですね。
原爆を経験した広島の市民は、今は
アメリカに対してはそこまでの悪感情は
持っていないですね。なぜだかよくわかりませんが。
学校教育のせいもあると思います。
夫:原爆は戦争で使われたものだからね。
ホロコーストは戦争とは関係ない出来事。
人種差別が極まってあそこまでいってしまった。
これまで何組ものユダヤ人のお客さんに
会いましたが、総じてみなさん世界史、特に
戦争の歴史についてめちゃくちゃ詳しい。
よほど徹底的に勉強しているんだな、と
いつも感じます。