日系人がハワイで経験したこと
ご夫婦&高校生の娘さんです。
ご主人はアメリカ海軍にお勤めで、
奥さまは、ハワイ出身の日系アメリカ人でした。
わたしは主に広島でガイドをしているので
平和や戦争に関する話題がどうしても多くなりますが、
今回も戦争の話題です。
奥さん:わたしの両親はハワイのオアフ島に住んでいた
日系二世なのよ。わたしも結婚前はオアフ島に住んでいたんだけどね。
わたし:じゃあ、ご両親は第二次世界大戦を
ハワイで経験しているんですね。
いろいろつらい経験をされたんじゃないですか?
奥さん:私の両親は当時はまだ子供で、
両親の家族はオアフ島に住んではいたけれど、
強制収容所には入れられずにすんだみたい。
でも、両親の叔父はシアトルからハワイにやってきて
ハワイで地元の人を集めて何か演説みたいなことを
やっていたもんだから
強制収容所に入れられたわ。
つばをはかれたことがある、って言ってた。
わたし:戦争はどこにいてもつらいものですね。
(北朝鮮の核ミサイルの話から)
奥さん:去年、ハワイでは
「北朝鮮がハワイに向けて核ミサイルを発射した」
という大誤報が流れて大騒ぎになったんだけど
知ってるかしら?
わたし:はい、もちろん知っています。
奥さん:私はカリフォルニアにいたから
その大誤報は自分のスマホでは受け取っていないのよ。私の妹がオアフ島に住んでいてね。
彼女は家にいるときに自分のスマホに
「北朝鮮がハワイに向けて核ミサイルを発射した」
という誤報メールを受け取ったのよ。
わたし:怖いですね。妹さんはどうされたんですか?
奥さん:私の所に電話してきて
「もう多分死ぬと思う。愛しているわ。さようなら」
って言ったわ。私も突然妹からこんなこと言われて大パニックよ。
妹は親戚とか友人とかあちこち電話して
お別れの挨拶をしたらしい。
で、30分ほどしてからやっとそれが
誤報だとわかったわけ。
本当にあの時は多くの人が死ぬ覚悟をした、って
妹は言ってたわ。
あんな誤報、ありえないわよね。
(原爆資料館を訪れた後)
娘:こんな悲惨な事実があったなんて
全く知らなかった。今回、日本に行くって言ったら
親戚から、「あなたは半分日本人で半分アメリカ人だから、
他の人よりもつらい気持ちを味わうと思うわ」って
言われたんだけど、ほんとにそうだった。
わたし:学校の歴史の授業で原爆のこととか
習うんですか?
娘:私は学校の歴史の授業ではナチスの話ばっかり
詳しく習ったわ。第2次世界大戦はヨーロッパの戦争だと
みんな思っていると思う。
原爆については
「アメリカが日本に原爆を落とした」、くらいかな。
全然習わなかった。多分、アメリカは
原爆投下について罪の意識もあるんじゃないかな。
先日、北朝鮮とアメリカの会談で北朝鮮の非核化に合意しましたが、
早くそれが本当に行われることを切に願います。
時々感じるのですが、アメリカ人て日本人よりも
「死」を少し身近に感じているような気がします。
日本に住んでいる限り、病気か交通事故くらいしか
自分が死ぬ場面を想像できませんが、
アメリカ人は犯罪とか戦争とかテロとか
日本人よりも別の死因が頭の片隅にあるのね、と
感じたことが何度かあります。日本て平和だな。